岡本太郎美術館 生田緑地@川崎市

 月に一度の病院の帰りに通るのでここ3ヵ月程生田緑地に通っていた。今回は最後に残した岡本太郎美術館の中を見た。
 岡本太郎美術館は、常設が500円で、特別展の料金がいくらになるかで毎回入場料が変わる。この前外の母の像を見たとき入口まで見に行くと900円だったが、今日は700円だった。
 中に入るとまず、40年・50年代の絵が展示されていて、どれもよく分からなかった。んー、困った分からないぞと進んでいくと、次は彫刻だった。こちらの方が親しみ易い。そして次に白黒の写真が沢山あった。岡本太郎は子供の頃からよく行った箱根彫刻の森美術館にある像や、大阪万博太陽の塔位しか見たことがなく、写真は初めてだった。縄文式土器を写した写真がまず最初にあり、あれ?縄文式土器ってこんなに綺麗だったっけ?と思いながら見ていたら、後の方の説明で、岡本太郎縄文式土器の美しさを発見したと評されていて驚いた。写真は他にも色々あったが、私がまだ生まれる前に何年もかけて日本全国を回り、日本の文化について調べて回っていた。その時の各地の資料や、人物等を写した写真がどれも素晴らしく、今回の特別展示は、その膨大な写真のネガの中から、ある写真家の方(名前を覚えていない)が選んだ白黒の写真とその方の撮影したカラーの写真が両方展示してあるというものだった。
 岡本太郎と言えば、芸術は爆発だ!という言葉と、枠にとらわれない自由な発想の人という事と、太陽の顔のような像。この三つだった。しかし、今回展示を見て、人物紹介を読んでいると、私のイメージしていた方とは全く違ったというか、ただ知らなかっただけかもしれないが、1/100程度しか分かっていなかった事がよく分かった。フランスで勉強した事で、日本の良さに気付き、日本の文化を勉強し、それを伝えようとし、民衆にいつも働きかけていたようだ。それ程情熱的に外に向けて働きかけていたのに、私はちっとも気付かずぼーっとしてしまっていた。本当に申し訳ない気がする。せめて今日美術館に行けて良かった。
 彫刻を見ている時思い出した。岡本太郎の実物大の写真が2つそのあたりに立ててあったからだと思う。もう10年以上前、テレビの岡本太郎と誰かの特集番組を見た。大きな氷だったか木だったかを切り出して、その場で作品を作るという企画だった。その時は、岡本太郎っぽい太陽の顔とかは作らないんだなぁと思ったような気がするが、全く分かっていなかったのだ。見るつもりで見始めた訳ではなかったが、結局最後まで目を離せないでいると、一番上にどーんと最後に大きい氷だか木だかを横にして乗せて作品は完成した。ものすごく大きいオブジェだった。生じゃないけれど、動いている、喋っている、作っている岡本太郎を見たのはそれが最初で最後だった。
 帰りに知ったが、エントランスホールにあるオブジェ、そもそもそれが気に入って、中を見ようと思ったのだが、中にいるときにはその像の名前は午後の像だったのねと思いながらいた。ところが、出て来て見ると別の名前が付いていた。どこが違うのだろうか。それを調べるのが今残されている課題だ。岡本太郎のお墓にもその像がどーんと付いているらしいので、ちゃんと調べようと思う。
 お土産売り場で何か買おうと見ていると、派手派手の、岡本太郎らしいと言えばらしい、こいのぼりが目に付いた。セットだと25,000円。一番小さいコイだけだと、1,500円で、白か赤どちらか選べる。白いコイに決めてレジに向かうと見本が赤で、やはり変えて赤を買って帰った。透明の袋に折りたたんで入れてあるが、そのままでも充分面白いのでこのまま置いておこう。もしも将来男の子を産む事が出来た暁には、あのセットの鯉のぼりを買おうと思う。鯉のぼりの値段なんて見たこともないが、立派なものはもっとしそうなので、25,000円なら安いと思う。岡本太郎の鯉のぼりなんてかっこいい!派手派手で自慢できる。すっかり嬉しい気分になった。
 元々太陽は好きだが、岡本太郎のエネルギーをほんの少し充電してもらって明るい気持ちになった。岡本太郎が川崎の生まれとは知らなかった。メガスターIIの作者といい、川崎市は偉大な人を出している。生田緑地は盛り沢山の贅沢な場所だったのに、今までちっとも知らなかった。初めて西口駐車場に停めたら157段の急な階段があって、帰りが悲惨だった。どこに行くにも東口駐車場でいい。