足の甲の日光浴

 網戸ごしに日光浴しようと思って、ダイニングの窓辺に椅子を近づけて素足を日に当ててみた。あったかーい。不思議な感覚だった。最近覚えがない。手も日に当ててみた。いつもと同じで特になんとも感じなかった。そうか、夏にサンダルをはかなくなって以来、何年も足の甲が日に当たった事がなかったんだ。足が暖かく照らされてもじもじしている感じだ。そこでこの間読んだ、シオドア・スタージョンの短編、手の話を思い出した。なるほど、あんなとっぴな話をどこから思いつくのかと思ったら、今日の足の感じなら分かる。
 少しして、遠い記憶が甦ってきた。高校まで水泳部でいつも足まで焼かれていた。あの頃は、こんなあったかい感覚ではなかった。水の中ではあたっている感覚はないし、プールサイドは足の裏が焼けそうに熱い。あー懐かしいと、サッシの上に足を乗せてみた。あ、熱い、やっぱり! 何だかこそばゆい気持ちになって落ち着いて読書という感じでもなくなった。日の光を忘れてしまっていた足には5秒位当てれば充分みたい。何度か当たりに行って、おしまいにした。また今度日光浴しよう。